運賃+10円で全駅にホーム柵整備へ 阪急・阪神 あの中津駅も対象 バリアフリー料金活用

阪急電鉄と阪神電気鉄道は、運賃に上乗せ徴収する「鉄道駅バリアフリー料金制度」を2023年4月1日(土)から導入し、ホームドアやエレベーターなどのバリアフリー整備を加速します。

阪神神戸三宮駅2番線に設置されている可動式ホーム柵(画像提供: 阪神電気鉄道)
阪神神戸三宮駅2番線に設置されている可動式ホーム柵(画像提供: 阪神電気鉄道)

ホームドアは現在わずか4駅

同制度は2021年12月に国が創設したもので、駅のバリアフリー化を着実かつ迅速に進めることを目的に、各種設備の設置・更新・維持管理などに充当する費用を全利用者から薄く広く負担してもらう仕組みです。両社は2022年8月3日(水)、料金設定と今後のバリアフリー整備計画を国土交通省近畿運輸局に届け出ました。両社とも2023年度〜2035年度の13年間徴収し、全額をバリアフリー整備に充当します。2035年度までのバリアフリー整備費は阪急が約910億円、阪神が約320億円を超えると見込んでおり、そのうちおおむね半額をバリアフリー料金でまかなうことで整備スピードを引き上げます。なお、この料金制度は2036年度以降も継続する予定としています。

届出によると、両社とも神戸高速線を除く全線の利用を対象とし、2023年4月1日(土)から普通運賃に10円のバリアフリー料金を加算します。導入後の初乗り運賃は、阪急が170円、阪神が160円となります。通勤定期券も上乗せ対象となりますが、通学定期券についてはバリアフリー料金は設定されず、現行の発売額が維持されます。

ホーム上の安全性を高めるホーム柵はすべての利用者にとって効果が高いことから、国は各鉄道事業者に対し、特に早期に整備に取り組むよう求めています。これまでの可動式ホーム柵(ホームドア)設置駅は、阪急は十三駅(3・4・5号線)と神戸三宮駅の2駅、阪神は大阪梅田駅(1番線)と神戸三宮駅の2駅にとどまっていますが、バリアフリー料金の活用により対象がすべての駅に拡大されます。阪急は2040年度頃、阪神は2042年度頃を目標とし、可動式または固定式のホーム柵を全駅に整備するよう計画を進めます(料金表、バリアフリー整備状況の路線図など詳細は下の図表を参照)。

【路線図で解説】阪急・阪神 「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用してバリアフリー整備を推進

ホームが狭い阪急中津駅もバリアフリー化

エレベーターやスロープなどの段差解消設備については、阪急は全86駅(神戸高速線、天神橋筋六丁目駅を除く)のうち84駅にすでに整備しています。残る2駅のうち、春日野道駅は現在エレベーターの設置工事中で、2022年度末までに整備が完了します。一方、中津駅はホームが極端に狭いという構造上の問題があり、阪急線内で唯一、バリアフリールートの確保が困難な駅とされていました。計画では2026年度以降に2基のエレベーターが設置され、ホームドアも併せて設置されることで全駅のバリアフリー化達成が見込まれています。

阪神は全49駅(西代駅、大阪難波駅を除く)のうち、バリアフリー法に基づく整備目標とされている1日3,000人以上の乗降がある46駅すべてにエレベーター等を設置済みです。未整備の3駅については、敷地が狭いなど立地上の制約があるものの、整備に向けて引き続き検討を進めていくとしています。